さようなら

昨日は夜中まで仕事をしていて、あ、そうだ夕飯、酒1杯と鍋をつついたりしただけだったなと思い、リビングに降りていき、昼に炊いた十五穀米と、漬物や豆腐やなんかを食べながらテレビを見ていたのだが、まあつまらない。つまらないというか、なんか必要のない栄養素というか、そういうもののみを摂らされているような感覚で、実際今食べている食事とは裏腹に、これではマズいとアマゾンプライムを起動した。もう結構な夜だったので、なんか相席食堂かなんかでお茶を濁そうと思ったのだが、ウォッチリストに入れっぱなしだった万引き家族が目についてしまい、うっかりタップ。納豆の皿を片付ける事さえ出来ず、ぷんわりと漂う納豆の匂いを嗅ぎながら2時間を過ごし、今日は寝不足である。

 

朝、子供と同じ時間に起き、今日は朝食に昼食っぽい、豚肉と玉ねぎと小松菜などを焼肉のタレで炒めたやつを作った。案の定子供は鮭フレークと鍋の残りしかほぼ食べなかった。無念。犬を散歩に連れてってから、妻と子を見送り、洗濯と洗い物、部屋を軽く片付けて、仕事を始めた。今月は結構忙しそう。忙しそうだけどなんか良い感じにハマってなんとかなりそう。お金には全然ならなそう。という不幸中の幸い中の幸い中の不幸中の幸いみたいな感じで、今どっちだっけ?ってなりながら死んでいけたら良いかもしれない。万引き家族を見ても少し同じような事を思った気がする。

 

少し小腹が空き、袋のインスタント麺を調理して食べた。今日は何年か使っていたウォーターサーバーの解約日で、午後にサーバーの回収が来る予定だったのにも関わらず、まだ水が残っていたので、ミネラルウォーターで袋麺を調理する。もう家中にあるボトルは水でパンパンになっており、早く使わなければ!という思いから水を入れすぎてめちゃくちゃ薄いラーメンが出来上がり、ごまかすために朝ごはんの残りの炒めものを入れた。まぁ、悪くはないが、少しも良くもない。贅沢なのか、侘しいのか、侘しいのか、贅沢なのか、またそういう思いを抱く。

ウォーターサーバーは子供が生まれた時にミルクあげる時に果てしなく便利!みたいなのを見て、ポストに入っていた会社の水を取り始めたのだが、子供はほぼ妻のおっぱいしか飲まなかったので、手軽にお茶を飲んだり、いつでも冷水を飲めたり出来るという贅沢品として2年ほど使った。ここの所水がどんどん減らなくなり、2階建てに引っ越した事もあり、普通にペットボトルの水を、2階に置いておきてぇ!となり、あと普通に高い事もあり、解約を決めた。

台所で踏み台に座ってラーメンを食べていると、散歩に行かない方の犬がシートから外れたところでうんこをしている。もう慣れすぎてズルズルとラーメンを食いながらその様子を見ていた。ふっとテレビで流しているLOSTAGEのライブ映像に目をやり、目を犬に戻すと、昨日おそらくあげた白菜の葉っぱの切れ端が、うまいこと消化されずにおしりから引きずって歩いている。慌てて体を持ち上げて、トイレットペーパーで取ってやる。さすがにカーペットまで汚されると面倒くさいから、早く気づいて良かったなと思いながら、またラーメンをすする。昨日、万引き家族を見ておいて良かったなと思った。

 

今この文章を書いていると、インターホンが鳴り、ウォーターサーバーは引き取られていった。いつも水を配達してくれる人ではない、初めて見る小太りの男性が「長い間ありがとうございました!」と言って、去っていった。僕はなんだか寂しい気持ちになりながら、サーバーの置いてあった場所のホコリを掃除機で吸い取った。長い間、ありがとうございました。