若さ

太った。実に太った。今年で32歳。大学時代から数えると15キロ以上太ってしまった。昔は痩せてたんだよ〜とか言ってるデブの中年を俺はああならないぞ〜と思っての見てたのに、同じような道筋を歩みはじめていて、早めの対処を検討している。しかし事実大学時代は著しく痩せていて、健康を害するレベルだったので、今の体重は平均かなんならそれよりもちょっとくらいは下だったりもするが、それは成長であるわけは無いので、痩せないにしても食い止めなければただのデブになってしまう。しかしデブになることが悪い訳ではなく、不健康なデブになってしまうのがダメなのであって、要するに飲みすぎる事なく、深夜のラーメンを辞め、適度に運動し、しっかり睡眠を取って、たまにラーメンを食べれば良いのだ。

 

一方で、「30過ぎたし、ジム通って、朝ジョギングして、糖質どうのこうの!」みたいな、画一的な感じもなんだかなという気持ちもある。この期に及んで、俺はそういうんじゃないし、みたいにまだ思っている。31なのに。でも特茶飲んだりしてるし、ビールもスタイルフリー(糖質0)にしたし、近くのプールでも通ってみっかな!(泳げないけど)とアマゾンでスポーツ水着を物色したりしているし、完全にそういう思考になってる。

でも俺は違う!なんか最近体重いし、特茶もスタイルフリーもなんなら普通のやつよりうまいし、水泳も体に負担かかんないし、泳げないから今更新しい事出来るようになるのも面白いんじゃ…などと自分の中の言い訳を途中まで考えて、自分で自分に「勝手にしろよ…」と思ったりしている。

 

年々、人の見た目って若くなっていると思う。15歳くらい若くみえる人なんてゴロゴロ居るし、65でも70でもバリバリ働いてる人も居る。実際若々しくある事は良いと思う。さっき書いた30過ぎたし…みたいなことの根底に、そういう気持ちもあると思う。

でも若々しくある事で、得する事ってなんだろう。まずは、かっこいい、かわいい。するとどうなるか、モテる。モテるとどうなるか。ヤれたり遊べたりはべらせたり出来る。そこに価値を見出す人ももちろん居るだろうし、十分魅力的ではあるのだが、なんかそこに向かってないのに、若くある人ももちろん居る。そういう人はたぶん自分を若々しく見せようとしてないし、自然に自分の好きな事とか、まぁ仕事とか、育児とかに生き生きと励んでいて、まぁジム通ってたり、エステとか行ってても、そこに変な邪念が無いんだと思う。それこそ画一的にそういうライフスタイルってなんか意識高いっぽくてダサいよね、なんかそういうんじゃないけど、痩せたいよね。モテるとかじゃなくて、普通に健康でありたいしさーなどと、まだ水着も買ってないのにプールに通うとか言い出す奴に限って、誰から隠れているのかわからないけどこっそりとラーメンなどを深夜にかっ喰らい、ぶくぶくと太っていくのである。気をつけていきたい。

 

若くある事の良さが、ヤれる事みたいに書いてしまったが、もちろんそれだけではない。去年娘が生まれて、しばらくはホヤホヤの猿のような赤子(文字通りめちゃくちゃ赤かった)をどう思って良いのかわからず、それは素晴らしいし嬉しいけども、なかみんながキャーキャー言って可愛いー!などの言っている感じとは違う感情を持っていた。しかしこの所ググッと人間らしくなり、赤ちゃん的な言葉の節々に、自分の声として発音している言葉が出始め、なるほど愛くるしさというのはこういう事か…と感じるようになってきている。

この前ふと昼寝をしようと一人でソファに横たわった時に、目をつむったら、頭上にある電気を付けたままだったので、目を瞑っても、その明るさがわかるような感じで、それがなんとなく夏の夕焼けが地平線に沈んだ直後くらいの、赤っぽいところに居るような感じがして、茂った草のくさみとか、風を匂いとかがしてくるような気がして、子供の頃を思い出した。子供の頃の記憶は人より著しく少ないが、変なことを幾つか覚えている。小学校くらいの時に友達と、自分の父親と3人で河原に釣りに行った。釣れたのかも、どこだったかも、覚えていないが、途中コンビニに寄って買ったコンビニのおにぎり(梅)を河原で食った時のうまさは強烈に覚えていて、ものすごく感動した気がする。河原の景色と、小学生の自分、そしてごはんに味のついた、未知のうまみを備えたコンビニのおにぎりに感動したんだと思う。ベタにホタルのいる景色とか、川の水で冷えたスイカとか、そういうんじゃないけど、たぶんそれも同じ事だと思う。そしてこれからそういう事がこれから娘に無数に訪れるかと思うと、めちゃくちゃ羨ましいと同時に、その訪れる事と、訪れ方は完全に自分に懸かっていると気づいて、ハッとした。同時に、何にでも感動出来る可能性、それこそが若さの良さなのかもな、と思った。

泳げない俺が泳げたら、感動するだろうか?想像してみたが、おっさんが溺れているような平泳ぎをして喜んでいるという客観的な視点が浮かんでしまい、げんなりした。若いって素晴らしい。